こんにちは。
突然ですが言語聴覚士のみなさん、言語訓練で「しりとり」はやりますか?
今回は「しりとり」について考えてみましょう。

テーマはしりとり

 今回のテーマはそう、ずばり「しりとり」です!

しりとりってなに?


 よのなかにあまたあることば遊びのなかで、抜群に有名な「しりとり」、ことばに携わる職業である言語聴覚士が知らないはずはありませんよね!?
 ところで、しりとりとはどんなものをいうのか、辞書で引いてみると・・・

しり‐とり【尻取り】 の意味
出典:デジタル大辞泉 
  1.  前の人の言った語の最後の一音を取って、それで始まる新しい語を次々に言い続けていく言葉の遊び。「くり・りす・すみ…」など。
  2. 前の詩歌や文句の終わりの言葉を、次の句の頭に置いて次々に言い続けていく文字つなぎの遊び。「お正月は宝船、宝船には七福神、神功皇后武の内、内田は剣菱七つ梅、梅松桜の菅原で…」など。

 今回の記事では、1番の方法で行うことば遊びについてです。
2番についてもなにやら楽しそうで興味深い。念のため載せておきました。「マジカルバナナ」のようなことば遊びでしょうか・・・(なんだか掲載されている例には難しいことばが乗っていますね)。語連想のようなあそびでしょうか。
 言語学的には(言語聴覚士的には)1番のしりとりが音韻から語を想起するしりとり、2番のしりとりは語義から語を想起するしりとり、といったところでしょう。

しりとりは何の訓練(リハビリ・セラピー)になるの?


 ところで、しりとりってリハビリ的は何をトレーニングできるのでしょう?
思いつく順番で、ざっと挙げてみましょう。

しりとりのねらい

  • 音韻操作の課題(語頭音・語尾音抽出、音韻からの語想起)
  • 順番を交代する課題(ソーシャル・スキル)
  • 複数人で行うコミュニケーション課題(グループ訓練にも)
  • 単語の既出・未出を判断する記憶の課題
  • 正しい構音操作と語想起のダブルタスク課題(機能性構音障害の汎化の段階の訓練など)
このように、さまざまなねらいで実施することができそうです。

上級者編!しりとりをアレンジして訓練に取り入れよう

 ただそのまましりとりをするだけではつまらない! より患者さんの症状や達成したいゴールに合わせてアレンジを加え、より楽しくリハビリを受けてもらえるといいですよね。  そこで、こんなふうにしりとりをするのはいかがでしょう。アレンジを考えてみました。
しりとり 内容
記憶しりとり 前の人の言ったことばをすべて覚えていく。再生できなければ負け。
大声しりとり 遠く離れた場所からお互いに聞こえるように単語を言う。声量低下や発話明瞭度の低い方にオススメ。
リズムしりとり 手拍子に合わせて一定のリズムで唱える。失調性構音障害などリズムコントロールの難しい発話障害の方、軽微な喚語困難のある方、プロソディ異常のあるASDの方などに。
条件しりとり 4文字以上・3秒以内に答える、カテゴリーを限定するなど、条件を指定する
たまとり おしりのことばではなく、あたまのことばを取ってつなげる例:「たまとり」→「」→「」→「」大変難しい!
辞書しりとり 辞書を引きながらしりとりをする珍しいことばが見つかるかも!?
絵しりとり 紙に書く、パソコンや携帯電話に打ち込む。書字や文字打ちの練習の一環として。
文字しりとり 絵を描いてしりとりをする。描画訓練もこれで楽しく?
身振りしりとり 絵身振りで行う。PACEをしりとりでやってみるイメージです。

 
このようなアレンジを加えてみると、よりねらいにフォーカスできたり、難易度を変えて、その方にぴったりの訓練ができます。
なにか良いアイディアをお持ちの方は、ぜひコメント欄で教えてください。追記させていただきます。

「しりとり」教材ってあるの?

 もちろんあります!
入手しやすく、楽しく遊べるしりとり教材をご紹介します。
しりとり専用教材となると、やはりこども向けの絵柄が多いですが大人でも楽しめるものもありますよ。

五味太郎しりとりぐるぐるカードシリーズ




  絵本作家の五味太郎さんによる、しりとりカードです。トランプのように配り、みんなでしりとりカードを繋げていくことができます。
 しりとりぐるぐるカードの特徴は、なんといっても底辺が短い台形の形をしているカード。なんとこのカード、ことばを繋げていくと、最後はわっかになるのです!カードを出す順番によっては、ひとつの大きな輪になることもあれば、大きいわっかの中に小さいわっかができることもあります。
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 百聞は一見に如かず。ぜひ一度遊んでみては?
 どうぶつとみのまわりのもの、2つの種類があって、絵が可愛い。
 果物や食べ物など他のシリーズも希望します!

さいとうしのぶ絵本



 さいとうしのぶさんの絵本は、あっちゃんあがつく―たべものあいうえお [単行本]が有名ですね。こちらも同じサイズの持ちやすい丈夫な絵本です。
 絵のほうは可愛らしすぎない絵柄で、見やすく、かつ、よく書き込んであるイラスト。文のほうは口に出して言ってみてもリズムの心地よい、何度も繰り返し眺めて楽しみながらことばを学んでいくのに最適な絵本です。
 食べ物が美味しそうに描かれているのも魅力的。大人もお子さんも、食べ物は大好きですもの。

こぐま会 ひとりでとっくんシリーズ





 お受験教材の販売で有名なこぐま会、しりとりの本もあります。紙面はモノクロでかわいらしすぎず、こどもだけでなく失語症の方向けにも使えるかもしれません。書き込み式の冊子なので、どちらかといえばドリル学習、家庭学習向けでしょう。
 切り取ってラミネートをかけることで、イラストをチップのように並び替えて遊ぶことも可能です。お値段もそれほど高くありませんので、備品に使える予算があまりなくて…という職場の方におすすめ。訓練教材作成の参考にこのシリーズは備えておくとよいでしょう。

こぐま会 しりとりカードシリーズ








 同社のしりとり教材ですが、こちらはカードを並び替えてしりとりを完成させます。ちいさな正方形のカードなので、机の上に並べたときにぱっと視野の中で一覧することができます。
 カードの素材はつるつるしていて厚みがあり、指でめくりやすく箱にもしまいやすい。コロコロしたさいころのような箱の形状から、興味を持ってくれるお子さんが多いです。
shiritori

 絵の色彩感も魅力的なので、かわいい絵をどんどん見たい、という気持ちからしりとりのルールをしだいに学習していきます。ただし、「げた」や「きく」などの低頻度語も含まれており、ことばに遅れのあるお子さん、言語経験の少ない低年齢のお子さんにはやや難しい場合があるかもしれません。

ほかにもあります、いろいろな しりとり絵本






 上段、おなじみ「ぐりとぐら」シリーズにもしりとりの本があります。口馴染みの良いあそびうたになっていて、唱えられるので、プロソディやリズムの練習にはうってつけですね。
 中段、乗り物大好き、乗り物博士!な男の子には、でんしゃのしりとりなんていかがでしょう。これなら一緒に楽しんでことばの練習をしてくれるかもしれません。
 下段、最近は最近はうんこドリルなんてものがブームになっていますが、こちらの絵本はうんこしりとりです。いったいどんなしりとりになってしまうのでしょうか。正直、気になります。

ぷりんときっず http://print-kids.net/ しりとり迷路プリント

printkidstop
ちょっと気が利く無料学習プリント - ぷりんときっず
(画像をクリックするとウェブサイトにジャンプ)

 インターネット上のフリーダウンロード教材はないの?
 ありますあります。それがあるんです。STさん、放課後デイサービスや老健のスタッフさん御用達のぷりんときっずさんに「しりとり迷路プリント」という教材があります。

printkids
(画像をクリックすると、しりとり迷路プリントのページへジャンプ)

 迷路となっており、同時に運筆まで練習できる!しかもなんとこちら、無料で使わせていただけます。
 単語の文字入り(答えあり)、文字なし(答えなし)と2パターンから適したものを選べるところも魅力的ですね。
 ぷりんときっずさんは、インターネットからアクセスが可能なサイトです。ご家庭でプリントアウトしていただくこともできるので、音韻意識を育てたいお子さん、文字に興味を持ち始めたお子さんの家庭学習に進めてみてはいかがでしょうか。

教材を使用するメリット・デメリット


教材を使うメリットとして、
  1. 非現前に語を想起するのが難しく、絵や文字を手掛かりにすると取り組める
  2. 目の前のカードがなくなったら終わりなので、終わりが明確になりやすい
  3. 絵が可愛いので興味を持てる、既製品は完成度が高い
  4. 好きなキャラクターなどで意欲が引き出せる
           …などが考えられます。

反対に、デメリットはなんでしょう。
  1. 教材にある語しか扱えない
  2. お金がかかる
  3. 教材のルールに従いすぎてしまう、自由度が制限される
  4. 頼りすぎると自分で訓練を組み立てる力がつかない(←???)
デメリットの2、3については、教材を参考にして、自分でアレンジや創意工夫をしていけばよいでしょう。既製品の良さ、自分で組み立てる訓練の良さ、どちらも活かしていきたいものですね。