言語聴覚士(ST)になるには、高校を卒業して専門学校または専攻科のある大学に入るか、大学を卒業したあとに専門学校または大学院に入るという進路があります。
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日本言語聴覚士教会より


 また、海外の言語聴覚士に相当する専門職(英語圏ではSLPと呼ばれています)の大学および大学院を卒業した人にも国家試験の受験資格があります。
 言語聴覚士になるのは難しいのでしょうか?簡単なのでしょうか?

言語聴覚士になるための関門は国家試験と臨床実習

 「言語聴覚士になるために一番大変だったことは?」と聞かれた言語聴覚士がきまって言うこと、それは国家試験と臨床実習です。国家試験にかんしてはイメージしやすいですね。臨床実習についてはどうでしょう。医療系の国家資格をもつ人や医療職に詳しい人には馴染みのある臨床実習ですが、イメージのつかない人もいるのではないでしょうか。今回は、国家試験と臨床実習の2点に絞って解説します。

臨床実習ってどんなことをするの?

 厚生労働省は、言語聴覚士養成課程に計12週の臨床実習を義務付けています。
   言語聴覚士を目指す学生は、1か所以上の施設で12週の期間、臨床実習を行う必要があります。おおくの実習先は病院や福祉施設です。授業で机上の知識を学んだのち、実習で実践的な知識や技術を身に着けるのです。学生は、バイザーと呼ばれる指導担当者から指導を受けます。指導は毎日のレポート課題を通じて行われるほか、バイザーの監督のもとで患者さんに検査を実施すること、特定の症例をまとめて症例報告書を作成することなどを通して行われます。
   臨床実習は、普段の学校生活とは異なる環境ですし、期間が長く、課される課題の量も多いため、とても大変だったと振り返る人が多いです。なかには国家試験よりも臨床実習のほうが苦労した、と言いきる人もいます。初めて現場に出ることで緊張で失敗してしまった、厳しく指導を受けた…と落ち込む学生も少なくありません。12週に渡る臨床実習を乗り切ったことで、いよいよ言語聴覚士の国家資格に挑めるのです。



国家試験ってどんな内容?

  言語聴覚士の国家試験は、例年2月の第3土曜日に全国6箇所の会場で行われます。
  試験は全て5者択一式のマークシート式で、200問で構成されます。そのうち合格点は、6割の120点です。試験時間は午前1時間、午後1時間の計2時間です。内容は医学総論や解剖学、生理学、病理学、内科学といった医学科目、リハビリテーション医学、言語発達障害学、失語症学、聴覚障害学といった言語聴覚士の専門領域科目にくわえ、言語学、音声学、心理学といった言語療法に関係の深い文系の基礎科目の配点が高いのも特色です。

国家試験は難しいの?

  ほかのリハビリ職である理学療法士や作業療法士にくらべて例年合格率がやや低めであることから、難易度はやや難しめであるといえます。それでも、受験者総数に占める合格者の割合は7割前後で推移しています。ふまえておきたいのは、国家試験を受けることができるのは、臨床実習を含めすべての課程を修了した人であるということです。国家試験を受けるまでの道のりを辿ってきたということは、それまでの道のりのなかで目標に向かい励んできたということであり、難しい試験内容に関わらず合格率が高い背景であることが想像できます。
  言語聴覚士になるための学校選びの際には、国家試験の合格率にくわえて入学した人のうち全過程を修了して国家試験を受験する人の割合がどのくらいかなのかという情報も、得ておきたいところです。