paku_akjfalsdjklasadfa_TP_V

失語症の症状はさまざま


 失語症には重症から軽傷までさまざまな重症度があり、その様態はさまざまです。すべての人に同様の症状がでるわけではありませんが、ここでは代表的な症状をご説明します。

失語症の代表的な症状

ことばが出ない…喚語困難

 「ええと、あれは何ていったっけ…出てこないなあ…」という経験は、誰にでもあるでしょう。ただし、失語症の方の場合のことばが出ない、という症状はすこしそれとは異なります。
 「りんご」、「テレビ」、「財布」など、誰でも知っていて当たり前だと思われていることばのなまえが出てこなくなるのです。配偶者や子どもなど、何度も呼ぶことのある近しい人の名前や、自分の生まれ住んでいる街の地名など、たとえ慣れ親しんだ呼び名であっても難しくなることもあります。
 気をつけたいのは、これは「もの忘れ」とは異なり、そのものが「何であるか」については知っています。さきほどの例では、食べる真似ができたり実物や写真、地図を指さすことにより、言いたかったことを伝えられます。(注意:「失語症」以外の症状の合併により、身振りや指差しができなくなることや、「何であるか」がわからなくなることはあります。)

言いたいことと違うことを言ってしまう…錯語

 「りんご」と言いたいのに「みかん」とちがうことばを言ってしまう、「りんぽ」とことばの音の一部を誤って言ってしまう、「ごんり」と間違った音の順番で言ってしまうという症状です。言い間違い・言い誤りに近い状態ですが、これも失語症でない人と異なるのは、"気を付けて言う"、"正しく言い直す"ことが難しい点です。また、失語症でない人にくらべると、頻度もかなり多いです。
 また、この言い誤りがかなり多く、聞いている側が正しいことばを推測できない状態をジャルゴン(ジャーゴン)と呼ぶことがあります。

わざとではないのに同じことばを繰り返して言ってしまう…保続

 意図していないのに、同じことばを言ってしまう—――つかみづらい症状ですが、これは脳の障害に特徴的な現象です。すでに言ったことばの命令がまだ頭の中に残っており、それを消すことができず、別のことばを言いたいのに前のことばを繰り返して言ってしまうものです。わたしたちの脳は指令のために信号をつくり、身体の各器官にその信号を送ります。その信号を消去し、あらたな信号を作成する準備を整えるまでが正常な脳のはたらきです。しかし、脳血管障害などで脳に障害を持つ人の場合、次々と信号をつくり実行すること自体が脳にかなりの負荷をかけてしまうため、前の信号を削除しそこねてしまうことがあるのでしょう。べつのことが言いたいのに、前にいったことと同じことを言ってしまうのです。このような現象を「保続」と呼びます。脳の不思議な仕組みのひとつですが、たくさん話したりことばに関係する活動をして疲れたとき、特に出やすい症状です。

発音が歪(ひず)んでしまう…発語失行(純粋語唖)

 失語症の人には、話しているあいだじゅう、口唇やべろなどの発声発語器官をうまくコントロールできず、その結果音が歪(ひず)んでしまう人がいます。この場合、構音障害と違って発声発語器官の麻痺はありません。意図したとおりに動かせないため、毎回つっかえたり音が歪むところ、歪みかたの程度が不規則、まちまちで話している本人も予測がつきづらいです。重症の人になると、声を出すタイミングをうまく調節できず、「おーい」などのシンプルな掛け声をタイミングよくだすことも難しい場合があります。
 しかしそんな人も、不思議なことにふとした場面では「どうもどうも」、「やあ」、「まいったな」など自然に言えてしまうことがあります。

  あれ?いま、うまく言えていましたね。もう一度どうぞ、せーの。 
  「・・・・・・・うーん」

 意識するととたんに声・ことばがでなくなってしまい、苦しそうな顔を浮かべます。発語失行をお持ちの方にはそんなことが多いです。 

    参考:構音障害って? -お子さんの発音がおかしい


ことばの音がとらえられない…聴覚失認(純粋語聾)

 耳のきこえは正常なのに、ことばを構成する「音」がとらえられないという症状です。この症状の方にボタンを押す方式のきこえの検査をすると、たいていは失語症になる以前の聴力とあまり変わりはありません。けれども、ことばを聞き取る力が極端に低下します。

ことばの意味をとらえられない…聴覚的な理解の障害

 「ことばの音」が聞こえている場合でも、意味をとらえられないことがあります。音やイントネーションを真似して、それらしく繰り返す(復唱する)ことはできます。けれども、ひとつひとつのことばの意味がわからなかったり、意味をあきらかにするまでの間、あたまのなかにことばや文を浮かべてられない、といった状態が起こります。

字が読めない…失読、書かれたことをちがうことばと読み間違えてしまう…錯読

 障害を持った以前に読めていたように字が書かれたことばを読めなくなることをいいます。なんらかの要因で先天的に字が読めない障害のことは、ディスレクシアや文盲と呼び、失読とはいいません。

字が書けない・・・失書、字の一部を間違って書く…錯書

 同じように、字を書けなくなってしまったり、漢字であれば部首の一部、かなであれば点や線の一部を誤って書いてしまうことを失書、錯書といいます。こちらも、先天的に書くことが難しい場合にはディスグラフィア、学習障害などと呼び、失書ではありません。

まったく同じ症状の失語症の人はいない

 人がもつことばの世界はとても広く、深いものです。必然的に、失語症の方の症状もまったく同じではありません。また、ことばをどのように生活で使用してきたか、ことば以外の世界をどのように持ってきたかといった生活背景をはじめ、さまざまな因子が失語症の回復やその後の生活に影響を及ぼします。持つ困難さやお悩みは人によってはまったく異なるものとなるでしょうから、失語症の方ひとりひとりに合った支援が求められます。今までも、これからも、すべての失語症の方に、よい言語聴覚士との出会いがあるとよいなと、ひとりの支援者の立場から思います。