言語聴覚士になるための関門のひとつが、「臨床実習」です。この臨床実習は、厚生労働省が国家試験の受験資格の必修として位置付けているので、言語聴覚士になるためには誰もが避けて通れません。
 現役の言語聴覚士に尋ねると、誰もが口を揃えて、「臨床実習は大変だった」と言います。なかには試験に合格するよりも大変だったという人も。
   初めての臨床実習、初めての臨床現場や実際の患者さん。なにが起こるのか予測がつきにくく、ともすれば過酷な臨床実習です。無事、乗り切るために準備しておくとよいことをご紹介します。
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①所持品・持ち物編

メモを取る道具にはバインダーとポケットに入るサイズの2種類を準備しよう!

 臨床実習の基本は見学です。見学から気づいたことをメモに書きとめ、家に持ち帰り、レポートにまとめる、といったスタイルは臨床実習の初めから終わりまで基本的には共通したものです。また、実際に臨床に出て言語聴覚士の仕事を行うなかでも、「記録を取る」ということは臨床の基本となる部分であるため、「記録をすること」を大切にするバイザー(実習指導担当者)はとても多いです。
 ただし、言語聴覚士の仕事は訓練室のみで行われるとは限りません。病院を例にあげるとすれば、ベッドサイド、談話室、ナースステーション、時には廊下や中庭など、さまざまな場所が臨床の場となります。そのため見学をしている実習生はさまざまな状況で素早くメモを取り出し、患者さんの発話内容や様子などを記録をする必要があります。また、カンファレンスやNST(栄養サポートチーム)の会議に実習生として参加する場合などは、人がたくさんいる狭い場所で邪魔にならずにメモを取る必要が出てきます。
 メモを取る用紙については、ケーシーの胸ポケットにさっと取り出せるものをひとつ、たくさん書ける大きなバインダーをひとつ、最低でも用意しておくとよいでしょう。なお、記録の書き方についてはここでは割愛しますが、素早くかつ正確に記録でき、あとから見返してわかりやすい記録方法を研究しておくとよいでしょう。

  


ストップウォッチは音の出ないタイプを準備しよう!

言語聴覚士の臨床実習に、ストップウォッチは必需品です。SLTA(失語症標準検査)やAMSD(標準ディサースリア検査)、HDS-R(改訂 長谷川式簡易知能評価スケール)、Kohs立方体テストといった頻繁に臨床場面で使用する検査には時間を計測する項目が含まれています。時間の都合や評価を実習生自身で行う練習の目的で、事前になんの検査を取るのか、検査の結果はどうであったのかを実習生に伝えない指導者は多いです。そのため、自分が検査を取るように指示を受けている場合に限らず、ストップウォッチは常に携帯しておくことをおすすめします。計測の際、音の出るタイプだと患者さんの注意を逸らしてしまい、臨床の妨げとなってしまいます。言語聴覚士になったあとも必ず使用するものですから、手に馴染みのよい、使い勝手の良いものをひとつ用意しておきましょう。


検査結果や評価チャートのカンニングペーパーを携帯しよう!

各検査のカットオフ点やスケールの評価基準については必ずメモを携帯できるようにしておきましょう。テストであれだけ勉強したのだからと、頭に入っているつもりでもいざ実践の場で活用するのは難しいものです。バイザーに質問された際にも記憶に頼って曖昧な返答をするよりも、「資料を確認させてください」と一言断り、正しいものと照らし合わせるほうが印象が良いでしょう。 病院の実習であれば、特にJCSやGCSなどの意識レベルのスケール、ディサースリアの発話明瞭度スケール、各種の嚥下スクリーニングテストの評価基準は、繰り返し使用する機会があるためメモを持っておくとよいでしょう。また、ADLを評価する、FIMやBarthel Index の簡易版などを持っておくのもよいでしょう。  小児の実習であれば、S-S法の検査結果サマリーを縮小コピーして持ち歩くなど、みなさん工夫しているようです。
    


以上が、①所持品・持ち物編になります。
しっかり準備をして臨床実習に挑みましょう!

次回は、②健康管理編 を予定しています。