こんにちは。
突然ですが、私は数年前から、月に2回~の失語症のグループ訓練の仕事をしています。
また、失語症友の会の活動に参加することがあります。
グループ訓練には、個別訓練とは違った楽しさや奥深さがあり、また難しさもあります。

特に苦労するのが「話題提供」です。
その場に参加する失語症の方々は、性別、年齢、生活背景や経験、家族構成など、さまざまで、おのずと関心のある話題が異なります。
グループ訓練を担当するSTがよく口にする、「重症度がばらばらで、課題を考えるのに苦労する…」という悩みと同じくらい、ときにはそれ以上に難しいと感じるのが、話題の選定なのです。
同質性の高いグループであれば、共通の話題はすぐに見つかるでしょうが、失語症の方はさまざまですので、そうはいかない場合もあります。
自分のよく知らない話題について会話が交わされていて、なかなか参加しづらいという経験は誰にでもありますよね。
さて、それでは、参加するみなさんが楽しく言語訓練に取り組んでいただくには…
私がよく使う話題提供について、ご紹介しようと思います。
以下に紹介する素材を話題のきっかけにし、会話訓練やそのほか課題を設定しているよ〜、というご紹介です。

新聞



はじめは、新聞です。
わざわざご紹介するまでもないかもしれませんが、最近では単身世帯も多く新聞を取っていないという方も増えていますね(私もです。)。
ですが、ご高齢の方を中心にまだまだ根強いメディアの新聞。
カラーの写真や大きな文字の見出しがあり、紙面が大きいので複数の人でのぞき込むことができ、話題の共有に最適です。
余談ですが、このように、相互の交流を産むためにあえて人数分よりも教材の数をあらかじめ減らしておくのがポイントだったりします。
複数の人で同じ紙面を覗き込むと、なんとなく目を合わせあったりして、仲良くなれそうな気がしてきます。
手軽に切り貼りできることもメリットです。
かなり重度の失語症の方でも新聞はなんとなく読めている、という方は意外と多いので、最も気になった新聞記事を切り抜き、掲示する、というプログラムを実施していたことがあります。

Yahoo!ニュース



つづいて、ウェブ上のメディアです。
写真や、動画が簡単に手に入りますので、グループ訓練を実施する場所にWi-Fi環境があれば、タブレット端末などで即座に表示させ、みんなでみることができるでしょう。
ネットが使えない、紙で見たい、などの場合に印刷をする際、ちょっとしたコツがあります。
それは、ブラウザの文字をあらかじめ最大に設定しておくことです。
文字サイズが最大のままで印刷すると、見えやすく、紙面に入る情報量がほどよく少なくなるため、おすすめです。
政治、スポーツ、芸能などなど、旬の時事ネタはお好きな方が多く、盛り上がりやすいですね。

今日は何の日?



Yahoo!きっず今日は何の日
今日は何の日・明日は何の日 | 雑学ネタ帳

ちょっとした話のまくらに、「今日は何の日?」を考えてもらうのもいいでしょう。
クイズ式にして、みなさんで当ててもらうのも楽しいですよ。
なかには結構無理やり語呂合わせをつくったものがあったりして、面白いものです。


鉄道路線図

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都市部限定になりますが、地下鉄の駅にはよく路線図が無料で配布されています。
また、ちょっとした観光案内を独自に配布しているところもあります。
そういったリーフレット等を活用し、自分の最寄駅を紹介してもらったり、自宅から現在地までを説明してもらうなどの訓練ができます。
発話がなかなかうまくいかない方でも、指差しで伝えることができるのは、路線図や地図のよいところです。
また、ガイドになりきっての観光・道案内や、過去に行った場所を紹介する、行ってみたい場所を挙げるなどの使い方もよいと思います。

雑学系

ギネス記録


日本人も活躍 面白いギネス記録|Infoseekニュース

世界には、面白いギネス記録がたくさんあります。
写真を交えながら、驚いたり笑ったりしながらみていくのはいかがでしょうか。

温泉マップ

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全国温泉ガイド
旅好きの方に喜ばれる話題です。
語想起課題のひとつとして温泉の名前を挙げていく、といった課題のヴァリエーションもよいでしょう。
また、旅行会社の作成しているパンフレットは質が高いので、教材としておすすめです。

ランキング


なんでもランキングベスト3
なんでもランキング
さまざまな雑学をランキング形式で紹介されているものが面白いです。
クスッと笑えたり、ありえないと驚くものがあります。

流行語大賞


ユーキャン新語・流行語大賞
毎年12月の初旬に発表される、新語・流行語大賞です。
誰もが一度は聞いたことのあることばばかりですので、盛り上がること請け合いです。
1年の振り返りとして扱ってもよいですし、歴史をさかのぼっていくのもよいでしょう。

料理本


きちんと、おいしい 昔ながらの料理
久保 香菜子
成美堂出版
2016-04-25


最後は、料理本です。
料理本以外にもレストランがたくさん載っているガイドなどもいいでしょう。
主婦の方が多いグループで、レシピを説明し、そのほかの人がメニューをあてる、という訓練をしたことがありました。
掲載の『きちんと、おいしい、昔ながらの料理』という本は、写真が大きく、工程について書かれている文章がわかりやすく、また載っている料理はオーソドックスなものばかりなのでおすすめです。

まとめ
  • 失語症のグループ訓練は「話題提供」が大切
  • できるだけ参加者みんなが参加できる話題が良い
  • 話題は旬のもの、交通、ご当地、雑学などがおすすめ
  • 教材の数は、参加人数よりもすこし少なめに用意しておく
  • 無料で手に入る教材も活用してみて
  • イラストや図式されているものであれば、指差しなどでやりとりが広がることがある